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究極のStrymonディレイに見る「黄金比」に隠された秘密とは

  • 2021年7月9日
  • strymon
究極のStrymonディレイに見る「黄金比」に隠された秘密とは

“Golden Ratio”: is‘a : b = b : (a+b)’

Strymonのディレイは、すべてタップ機能が備わっており、任意のリズムに合わせて細かく設定することができます。DIGとVolanteは更なるコントロールを備えています。2つ以上の個別のディレイソースを同期することができるなど、他のディレイでは真似出来ないようなことが可能なのです。

「黄金比率=ゴールデンレシオ」は、古代から芸術や科学の重要な概念と見なされてきました。しかし、はたして、オーディオの世界にも、それは適用できるのでしょうか? 実は、DIGとVolanteの両方とも、「ゴールデンレシオ」設定があり、DIGはシンク・モードのサブディビジョンに、Volanteはテープヘッドのスペーシング設定にその設定機能を備えています。

Strymonの共同創設者にしてサウンドデザイナーのピート・シーリー氏によると、「ゴールデンレシオ」は、リズミカルな同期エフェクトを生み出すために、プレイバック時のディレイタイム設定における重要な要素でもあるようです。この回答を受けて、同じくStrymonでテクニカルサポートを務めるゴーハン・ルイス、同期に関する彼の考え方とテクニックを共有してもらいました。


2つのディレイを自在に操るStrymon DIG 使いこなし術
シンク・モードにおけるサブディビジョン設定の「ゴールデンレシオ」とは

ゴーハン・ルイス氏(Strymonテクニカルサポート)

Q.”黄金比” の概念を掘り下げる前に、サブディビジョン機能を使ってDIGの2つのディレイをうまく使いこなし、グルーヴを作る方法をお聞きしたいと思います。www.strymon.net にあるDIGの製品ページには、これからDIGで音楽を楽しみたい方のためにヒントとなるようなデモ音源がありますか?

Gohan:SYNCモードでDIGの2つのディレイを使用すれば、すぐに2つのディレイで音楽的なグルーヴを生みだせるように、最適化されています。

ディレイ 2 はこの設定でディレイ 1 と同期されるため、ディレイ 2 は常に ディレイ 1 とシンクロするようになります。サブディビジョンは、8分3連 、8分、ゴールデンレシオ、符点8分、符点4分の 5つから選ぶことができます。

8分3連や付点8分のようなサブディビジョンは、4分音符のディレイよりも短く、プレイの隙間をうまく埋めてくれる上に、4分音符とあまり重ならないので、興味深いリズミカルなグルーヴを作るのに最適です。

個人的には、DIGの2つのディレイをシリーズ接続に設定すると、ディレイ2がディレイ1に重なるように、よりリズミカルなサウンを生みだすと思います。

DIGの3種類のディレイタイプをハイライトしたDIGの製品ページには、2つのディレイで得られるさまざまなリズムが数多く掲載されています。DIGが持つ2つのディレイの構成は、よりリズミカルなディレイを作る上でも大きな役割を果たしていることを忘れないで下さい。


Q.いわゆる「前ノリ」や「後ノリ」といったタイプのグルーヴを得るための最適なディレイ設定はどのようなものでしょうか。「シャッフル」や「ハーフタイムシャッフル」のグルーヴはどうでしょう?また、例えば U2のギタリスト、エッジのようにリズミカルにディレイ信号が再生されるようなプレイスタイルに最適な設定はありますか?

Gohan:ビートの「前ノリ」や「後ノリ」を生みだすには、ディレイタイムの設定が全てです。シンク・モードでディレイ2を使い、ディレイ1のテンポに合わせて、ほんの少しだけテンポをずらすように、慎重にTIMEノブを回すと良いでしょう。

これで、拍子がほんの少しずれたサウンドが生まれます。

シンク・モードを介して実際にその効果を得られる方法はないので、このモードでシャッフルグルーヴを生みだすのは難しいのですが、ディレイ1とディレイ2のディレイタイムが独立しているフリー・モードを使用すれば良いのです。

2つのディレイそれぞれに、自分が思い描く好きなタイミングを設定して、いくつかの創造的なリズムだって作れますよ。

こうした象徴的なU2スタイルのディレイサウンドを得るための秘訣としては、付点8分のディレイと並行して8分のディレイを使うことです。そして、ミックスやリピートといったものを自分好みに調整することができますが、この2つのサブディビジョンを持っていれば、古典的なU2トーンの多くをカバーすることができます。

DIGでは、ディレイ 1 サブディビジョンをセカンダリ機能で付点8分 に設定し、ディレイ 2 のディレイタイムを8分音符に設定します。

2つのディレイが同期されていることを確認して、Config(MIX 2のセカンダリ機能)も同様にパラレルに設定すれば完成です。


創設者ピート・シーリー語る、Strymonが誇る「黄金比」の秘密とは

ピート・シーリー氏(Strymon共同創設者)

Strymonの「ゴールデンレシオ=黄金比」とは何なのか。

Q. a : b が”黄金比”の場合、式は a : b = b : (a + b) となります。だとすると、ディレイタイムの比率が1: 1.6180339887…であることを意味するのでしょうか?この方程式は、Strymon Volanteの「ゴールデンレシオ(黄金比)」におけるアルゴリズムにも当てはまるのでしょうか?そのアルゴリズムが生み出すサウンドはとてもアンビエントで美しい音です。なぜそのようにうまく機能しているのか、ぜひ教えて下さい。

Pete:Volanteの「ゴールデンレシオ」は、ディレイのリピートにおいて、最速でデンシティ(密度)を作り上げます。リピートを高めに設定すると、再生されたエコーは、エコーのリピートによって発生する、識別できないようなリズムや繰り返しパターンを防ぐため、オーバーラップすることなくスペーシングされます。これによって、それぞれのリピート音が密になったエコー音を、長く徐々に減衰させる残響音へとすぐに移行させることができまるのです。

Q. Volanteは、ゴールデンレシオを含む4種類のプレイヘッド(ディレイタイム)とそれぞれに個別のフィードバックを備えています。このことはつまり、VolanteはDIGよりも複雑な音を作ることができるということでしょうか?

Pete:複雑なディレイサウンドを作成するには、さまざまなアプローチがあります。DIGには、2つのディレイを設定する独自の方法があり、タイムやフリー・モードでも同期できます。Volanteは柔軟なヘッド間隔を持つマルチヘッド構成を採用しています。それぞれにお互いができないことを行うことができますが、それぞれがシンプルでストレートなディレイから非常に複雑でアンビエントなサウンドメイクまで可能です。

Q. Volanteを使うとき、ゴールデンレシオとシルバーレシオのどちらが好きですか?それらはどのように違うのでしょうか?

Pete:シルバーレシオは、ヘッド間のディレイタイムが連続的に小さくなる方法でヘッドが並んでいる幾何学的なスペーシングです。これは、4分音符のディレイタイムに向かって、リピート音を束ねていく効果があります。これには、最初は拡散しないタイプのサウンドを提供しますが、ドライ信号と出だしのディレイ音との間には、少しの分離が残っています。もしあなたが単一の音をプレイして、その後に少しスペースが必要な場合に最適です。すべては、どんなサウンドを狙っているかによって異なるのです。これはVolanteが素晴らしい製品である理由のひとつでもあります。そこにはユニークで音楽的なサウンド出会える可能性がたくさんあります。


Strymonが開発するDIGやVOLANTEといった美しいランドスケープを生みだす空間系エフェクターには、確かな技術力と音楽への深い造詣によってもたらされる、ミュージシャンを唸らせるこだわりのサウンドクオリティや機能が凝縮されています。

このこだわりで、世界中でも多くのミュージシャンからStrymon製品は選ばれており、近年、その唯一無二の存在感で世代を問わず支持されているギタリスト、ジョン・メイヤーも、彼のカラフルなサウンドパレットを生みだすペダルボードにはStrymon製品を必ず常備しています。*

*参考記事:John Mayer’s Strymon Volante Magnetic Echo Machine
https://equipboard.com/pros/john-mayer/strymon-volante-magnetic-echo-machine

**ゴールデンレシオについての参考動画:
The Golden Ratio Applied To Delay Pedals (Crazy Maths Involved!) [Pedalboard Tips #37]


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