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Strymonのサウンドデザイナーのピート・シーリー氏、Flintを語る。

Pete Celi
  • 2021年5月15日
  • strymon
Strymonのサウンドデザイナーのピート・シーリー氏、Flintを語る。
Pete Celi
ピート・シーリー氏とFender ビンテージ・アンプ

Q1. Strymon Flintには「’61 harm(ハーモニック・トレモロ)」、「’63 tube(パワーチューブ・トレモロ)」および「’65 photo(フォトセル・トレモロ)」という3種類の異なるトレモロがあります。あなたが書いたトレモロ・サーキットに関するホワイトペーパーから、「’63 tube」が63′-64′ Fender Vibroverb(実際には「VIBRATO」と呼ばれたオリジナルのVibroverbのトレモロチャンネル)を、「65フォトセル」は通称「ブラックフェイス」のFender Deluxe Reverbをリファレンスしていると認識しています。では「’61 harm(ハーモニック・トレモロ)」はどのアンプに内蔵されていたのですか?

Pete:通称「ブロンド」ツインとしても知られている1961 Fender Twinです。これは、ブライトトーン(ハイパスフィルター)とダークトーン(ローパスフィルター)が交互に切り替わるトレモロサウンドが得られます。それは、特に低速の時にうっとりするような素晴らしい音色になるんです。


Q2. 1970年代には、リバーブとトレモロの音は米国で最も人気がありました。一方で当時、イギリスのロッカーは、このエフェクトの組み合わせをあまり使いませんでした。(当時、フェンダーアンプだけに付いていました)。理由が何かあったのでしょうか? その当時、これらのエフェクトを使用していたイギリスやヨーロッパのギタープレイヤーがはいましたか?

Pete:フェンダーはカリフォルニアに拠点を置いており、60年代と70年代に西海岸で起こったサーフィンやビーチパーティーといったシーンで、インストのサーフミュージックの誕生に一役買っています。これらのフェンダーアンプに組み込まれたトレモロとリバーブが、そのジャンルのシグネチャーサウンドになりました。そして、これらのエフェクトは、他の音楽スタイルにもより大きな可能性を開いたのです。


Q3. 「’65 photo」は、ここ最近のサウンドの中でも、おそらく最も身近なタイプのトレモロと言えますね。Fender Deluxe Reverbの影響でしょうか?それともその音を再現したアナログ・トレモロ・ペダルによって人気が出たのでしょうか?

Pete:私はまだDeluxe Reverbアンプが、フォトセルのトレモロサウンドの人気を牽引していると思いますよ。他のあらゆるペダルもそのサウンドを基準にしているからです。


Q4. Flintのトレモロセクションと’60’s Reverbの組み合わせは、フェンダーのクリーンチャンネルサウンドを望むプレイヤーに最適ではないでしょうか?また、そのクリーンなフェンダーのトーンにより近づけるために、「ラウンド」設定のIridiumとの組み合わせがオススメでしょうか?

Pete:確かに、Flintは、どんなアンプにもフェンダーアンプが備えているトレモロとリバーブサーキットと同じキャラクターをもたらすことが可能です。私はビンテージの1964 Supro ‘Super’ という5ワットのアンプを持っていますが、それはボリュームノブが1つ付いているだけです。そのアンプの前にFlintをつないで、’63 tubeトレモロと60年代のスプリングリバーブを組み合わると、極上のサウンドが得られるんです。もちろん、Iridiumとも完璧な組み合わせになりますよ。


Q5. FlintのリバーブトーンはBigSkyとは全く異なります。’70’&’80’リバーブはルーム・リバーブとリッチプレート・リバーブの中間のサウンドです。私にとってはLexicon 480のより深みがあるダークなサウンドというより、1980年代にLAのハイエンドスタジオで何度も聞いたEMT250を思い出します。これらの2つのアルゴリズムは何か特定の機材にインスパイアされているのでしょうか?またその理由を教えて下さい。

Pete:Flintの70年代リバーブは確かにEMT250にインスパイアされています。これは、リピートが多いマルチタップ・ディレイラインを並列で組み合わせてリバーブ音を生む、それと同様のコンセプトを採用しています。ディレイラインの一部に軽いモジュレーションを加えて、リバーブに味付けを施しています。

Pete:80年代のリバーブは、80年代に登場した手頃な価格のデジタルメモリチップとマイクロプロセッサーの出現によって可能になったリバーブ・アルゴリズムの一例とも言えます。それは特定のモデルにインスパイアされたというより、当時のリバーブ・アルゴリズム開発の技術とその進歩の結果です。80年代のリバーブは、当時の一般的なミュージシャンが初めて予算内で買えるデジタルリバーブを実現しました。最近ではサウンドを真似たプラグインも発売されています。

EMT250(左)と、Lexicon 480(右)

*PeteはAlesis時代に人気があったQadoraverbの設計にも携わっていました。