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David Ellefson(MEGADETH) インタビュー 2017年5月19日

  • 2017年6月23日
  • アーティスト
David Ellefson(MEGADETH) インタビュー 2017年5月19日

2017年5月19日ZEPP DiverCity TOKYO公演前、MEGADETHのベーシストDavid Ellefson(デイヴィッド・エレフソン)氏にHartkeに関するお話を伺いました。

今回のツアーで使用している機材に関して、今までと違う箇所はありますか?

David: 普段アメリカではHartke HyDrive810を2台使用している。生産完了と言うこともあり、このアジア・ツアーでは使っていない。HyDrive810は、アジアに限らず、ヨーロッパ、北アメリカでさえサイズ的に扱うのは難しく、使うのは僕やFrank Bello(ANTHRAX)くらいだとは理解しているから仕方がないと思っているよ(笑)。

そこで、今回はHyDrive410を2台スタックして使用している。それを2ペアだから、合計4台だね。HyDrive410は高域がクリアなので、タイトでパンチのあるサウンドだね。HyDrive810もスピーカーの数は同じだけど、キャビネットの純粋な容量が大きいから低域が物 凄く出るんだ。僕のサウンドの要はアタックなので、HyDrive410でもその部分は鮮明に再現してくれているよ。音がシャープだと、ノートの明瞭度がハッキリするからね。

LH1000のセッティングを教えてください。

David: BRITEスイッチをONにし、LIMITERはOFFにしている。実はコンプレッサーを使うのは好きじゃないんだ。もちろんPAは音をまとめる都合上コンプレッサーを掛けているが、僕はプレイヤーとしてアンプやエフェクターに弾き方を制限されるのは嫌いでね(笑)。 フリーでいたいんだ。そうすると、ピッキングの強さや弾き方、ブリッジミュートの有無など自分の手もとでサウンドを全てコントロールできる。音楽的なプレイが明確にできるんだ。

EQ設定はTREBLEを僅かに上げているくらいで、ほぼ全てフラットだよ。ベース本体のコントロールは全て10に設定していて、それがフラットな設定のアンプに送られる。そうすると、自分の腕でトーンをコントロールできるからね。

Hartkeのアンプやスピーカーは、僕が機材に対して「こう動いて欲しい」と言うリクエストにいつも応えてくれる。タイトな高域、中域のパンチ、キャビネットの組み合わせによって生まれる心地よい低域、全帯域がバランス良くカバーされている。だからドラムのキックやMarshallのギターのサウンドとも相性がとても良い。まるでキックが大砲台で、ベースが大砲の弾の様に飛んでいくよ!

シグネチャー・モデルのベースとの相性も良いですね?

David: 良いね! 昔はパッシブのPJタイプのピックアップを使用していたが、今はEMGのハムバッカーを使用している。EMGのトーンはフラットで、個性が少ない。あまりピックアップの個性が強すぎると、他の機材の調整をしないといけなくなるのが嫌でね。機材は真っ白なキャンバスのような物で、演奏という名の絵を描く場であるべきだと思っているからね。

ベースの音はバンドの中で常に変化し続けるべきだと思うんだ。ギターのアンプが変われば、ベースのサウンドも変える。それがEMGのハムバッカーにした理由でもあるんだ。Dave Mustaineは以前ROCKMANのアンプを使っていたからPJピックアップで良かったけど、今の彼のサウンドにPJピックアップではマッチしない。

それに時代が進むにつれて周りの機材も進化した。サウンドの環境も良くなり、イヤモニも普及した。全てが連動しているんだ。だから、「Dystopia」は2015年でなければ作れないサウンドだと思う。今、昔の曲を当時のテープ機材で録音したとしても、プレイヤーの経験と機材の進化から、違うサウンドになるよね。レコーディングはまるでポートレイトだね。だからバンドは常に進化させていかなければと思っているよ!

レコーディングでもライブ同様の機材を使用していますか?

David: 「Dystopia」のレコーディングでは、キャビネットはHartke 210XLを使用しましたよ。実はこのスピーカーこそが「So Far, So Good… So What!(1988年)」「Rust in Peace(1990)」「Countdown to Extinction(1992)」をレコーディングした時のトレブリーなサウンドその物で、今回はこれと複数のアンプを組み合わせてレコーディングした。

このツアーに出る前、この210XLにShure SM57を立てたサウンドを、ライブで使用するDI(マイク・シミュレーターを内蔵したRadial 製)で再現できるよう、トーン・マッチングを徹底的に行ったんだ。

アンプはLH1000を使用したよ。これを210XL やPEAVY 10”×8キャビネットに接続し、Ampegアンプのサウンドともミックスしたんだ。あと、歪みやサブ・ハーモニクスを足すために、DIとしてHartke Bass Attackを使用し、それをクリーンなDIともミックスした。なので、「Dystopia」は合計6つのサウンドをミックスして作られていると言うことになるね。

この方法は、「Cryptic Writings(1997年)」のレコーディング中にDann Huffに教わったんだ。The Tracking Room(テネシー州 ナッシュビル)はとにかくキレイで、サウンドに透明感があった。だから、そこで録音された当時の事は凄く印象に残っているよ。


プロフィール
David Ellefson(デイヴィッド・エレフソン)

ミネソタ州出身のベーシスト。
MEGADETH結成オリジナルメンバーの一人。
(1983年~2002年、2010年~現在)

2004年~2009年の間にリリースされた3作品を除く、全てのスタジオアルバムに参加している。MEGADETH活動休止中にはF5やHail!を結成し、Soulflyなど様々なバンドの作品にゲスト参加している。
2015年には自身の音楽レーベル「EMP(Ellefson Music Productions)」を立ち上げた。

使用Hartke機材:

LH1000
Hydrive410