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ペダルボードのためのMIDI入門 - text by Dave Fruehling –

  • 2013年8月6日
  • ギター関連
ペダルボードのためのMIDI入門 - text by Dave Fruehling –

MIDI (Musical Instrument Digital Interface)は、その複雑そうなイメージから時として嫌がられる反面、とても役に立つテクノロジーです。元々は異なるメーカーの機器どうしが互換性を持てるように、シンセサイザー用に開発されたオープン規格でした。現在では多くのギター用機器もMIDIを搭載し、ギタリストも使用する機会が増えました。難しく思われがちなMIDIですが、幾つかの基本的な知識さえ学べば、数多くの便利な機能が使用できるようになります。

strymonのFirmware Architect エンジニアのDave Fruehlingが下記に解説します。


最も基本的なMIDI使用方法は以下の通りです。

  1. 機材1と機材2をMIDIケーブルで接続します。
  2. 機材1が機材2に命令データを送ります。

この命令データは「MIDIメッセージ」と呼ばれ、機材1が機材2にどのように動作するかの命令です。

ここからはMIDIでエフェクターをコントロールする最も簡単で一般的な方法について説明しましょう。後のセクションでは、MIDI信号を受けるエフェクターを「デバイス」、MIDIメッセージを送信するコントローラーを「MIDIコントローラー」と呼びます。

MIDIコントローラーには、シンプルな物から複雑な設定が可能な物まで、様々な種類があります。シンプルな物はプリセットの変更を行い、複雑な物は多数の変更メッセージのコンビネーションやクロックを送信します。

ほとんどのギタリストは、プリセットの変更とパラメーター(各コントロールやスイッチ)の変更という、2つの機能だけをMIDIで使用していることが多いです。それでは、これらの機能について少し説明を加えましょう。


CCメッセージと、プログラム変更メッセージ

MIDIは、「CC(continuous controller)メッセージ」と「プログラム変更メッセージ」と言うメッセージを送信します。CCメッセージは機器のスイッチやパラメーターをコントロールし、プログラム変更メッセージは文字通りプログラムを変更するメッセージです。メーカーによっては「プログラム」を「プリセット」や「パッチ」と呼ぶこともありますが、全て同じです。

CC メッセージ
CCメッセージは4段階のメッセージから成り立っています。 例えば、あなたのペダルのコントロールノブ/パラメーターを操作する為に、以下の様にデバイスへメッセージが送くられます。

  • 「こんにちは、私はパラメーターを変更するメッセージです。」(CCメッセージ)
  • 「私の命令を聞くのは誰?」(MIDIチャンネル)
  • 「このプリセットに切り替えてください。」(プログラム・チェンジバリュー)

プログラム変更メッセージ
プログラム・チェンジ・メッセージは更にシンプルです。

  • 「こんにちは、私はプログラムを操作するメッセージです。」(プログラム変更メッセージ)
  • 「私の命令を聞くのは誰?」(MIDIチャンネル)
  • 「私の命令で動くコントロールは?」(CCナンバー)
  • 「パラメーターの数値をこの数値に設定してください。」(コントローラーバリュー)

突然、「ナンバー」「バリュー」「チャンネル」と出てきましたが、これは何のことでしょう?
CCメッセージには、どの機能を操作するかを区別する「CCナンバー」と、そのコントロール範囲「バリュー(0~127)」が含まれています。「MIDIチャンネル」は16チャンネル(1~16)あり、MIDIコントローラーが送った命令を、どのチャンネルが受けるかを識別します。


MIDIが正常に動作しない場合は?

もし上記のように接続しても正常に動作しない場合、何が原因なのでしょうか?
その例を挙げながら、MIDIメッセージについて更に掘り下げてみましょう。

1.MIDIチャンネルの設定
受信側のデバイスとMIDIコントローラーは、同じMIDIチャンネルに設定されていなければメッセージは届きません。例えば、MIDIコントローラーがチャンネル1で送ったMIDIメッセージは、デバイス側でもチャンネル1でしか受ける事ができません。

2.CCによるスイッチ動作
CCメッセージでスイッチON/OFFを操作する場合、デバイスによりバリューが異なる場合があります。

  • バリュー「0~63」がスイッチのプッシュ動作、「64~127」がスイッチのリリース動作。
  • バリュー「0」がスイッチのプッシュ動作、「1」がスイッチのリリース動作。

3.プリセット規格
MIDIコントローラーは、自身のスイッチやメッセージのマッピングをプリセットに含む場合があります。この場合のプリセットチェンジは、デバイスのプリセットとは関係ありません。

4.入出力の接続
必ず、MIDIコントローラーのMIDI OUTから、コントロールしたい機器のMIDI INにケーブルを接続してください。

以上がMIDIを活用してペダルボードでエフェクターを操作する簡単な説明です。
今まで分かり難いと思っていたMIDIが、少しでも理解して頂けたら幸いです。


Text:Dave Fruehling (strymon)

Firmware Architect Genius / Jeep Repair Expert