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ギタリスト TAKUMI 氏が語る DIG レビュー

  • 2015年7月24日
  • アーティスト
ギタリスト TAKUMI 氏が語る DIG レビュー

PRSのエンドース・ギタリストであり、GACKT、SUGIZO(X JAPAN/LUNASEA)のツアーや作品に参加するほか、また、SOUND DESIGNER誌の連載対談でもおなじみのTAKUMIさんがDIGを愛用してくれています。今回は、DIGの感想やサウンドメイクに関するお話を伺ってきました!

DIGのファースト・インプレッションを教えてください。

DIGはまず、Youtubeでデモを聴いた時に「これドンズバ!」って思いました。付点8分のフレーズ、U2的、ルカサー的サウンドが簡単に出せますよね。SDEシリーズやTC2290のような80年代のデジタルディレイ・サウンドが、そのまま再現されている。

ラック機材のような複雑な設定も必要無さそうでしたし、ちょっとメモっておけばライブでもすぐ使えそう…。DIGに「使って下さい!」と言われているような感覚でしたよ(笑)。

実際に80年代のデジタルディレイを試されたことありますか?

TAKUMI : 昔はEventideを筆頭に「とにかく高い!!」というイメージがありましたよね。有名なTC2290もかなり高額でしたし。

AllAccess : Delta labはご存知ですか? 日本には殆ど輸入されていませんでした。80年代…確かボストンにあったベンチャー企業で、ラックディレイを3~4種類作ったメーカーです。USでは人気がありました。

TAKUMI : 僕は聞いた事ないですね、気になります。

AllAccess : Delta labは衛星通信に使用するようなチップを使って、初めて安くデジタルディレイを作ったんですよ。そういう意味では画期的でした。TC2290やDelta labのデジタル変換方式をAdaptive Delta Modulationと言うのですが、 Digのadmモードはまさにその方式のサウンドを再現しています。

TAKUMI : そう考えると、PCM変調方式から、adm、96/24の高解像度ディレイまで備えるDIGは、当時のラック機材のクオリティーを上回るポテンシャルがありますね。設定が楽で、必要な機能がすぐに設定できますから。裏モードのような遊び心も満載で、本当にこれ一台でいろんなことが実現できますね!

AllAccess : 余談ですが、80年代はタップインの無い時代でしたから、エンジニアはBPMを電卓で計算していました。今となっては当たり前の機能ですが、DIGのようにタップテンポできるデジタルディレイを、当時探すことは不可能でしたね。

TAKUMI : 十数年前までエンジニアさんも皆BPM早見表を持っていましたよね。

AllAccess : 当時、楽曲のテンポが大方決まっていたアメリカのギタリストは、ディレイタイムも設定を変更せず、そのまま演奏していたと思います。

TAKUMI : 笑

2台結合ができるディレイの使い方?

TAKUMI : Pro Tools等のDAWでも、僕は必ずタイムの異なるディレイを複数インサートするので、トラック設定も複雑になってしまいます。それに比べるとDIGは便利ですね。3連符とか付点8分とか一瞬で出来ますから! 特に、Delay2のテンポフリー設定モードは使えますね。これ、凄く楽。簡単にタイム設定が出来ます。Delay1とDelay2、それぞれ個別にミックスレベルがあるので、リズミックパターンも自由度が高いですね! 説明書を見ていると、所狭しと色々な機能が付けてあるから、よく考えたなぁーって思います。こんな小さなボディなのに、様々なサウンドを生み出せることに驚きです。

AllAccess : 接続のルーティングも二台をシリーズ、パラレル、ピンポンと接続も選べるんですよ。通常の2台のディレイでやろうとすると、ミキサーが必要になってきます。

TAKUMI : ソロではピンポンを使用することも多いので、すごく便利です。苦労して設定していたような事、ディレイ2台、3台でやっていたことが、一瞬で再現できますね。 コンパクトエフェクターの魅力は「直感的に使えること」なので、DIGはシンプルに操作したい箇所がすぐ設定できて、さらにタップも出来て、一瞬でラック2台分追従してくれる。繋げばOKみたいな感じですよ! 裏モードも実は簡単で、フィルターとディレイ2のリピートはよく使います。 ディレイは僕の中ではEl Capistanを超える製品が今まで無かったんですが、DIGは久々にグッときましたね!

El Capistanとの使い分けは?

TAKUMI : El Capistanは本当に『アナログ』なんですよね。これにしか出せない個性があるんですよ。他のエフェクターでも出ないし、もっと言ってしまうとテープエコーとも違うような… テープエコーは重くて持ち運べなかったり、日替わりで調子に左右されて使いにくい時があります。でも、El capistanはそれに全部応えてくれるから。やっぱり「必殺」なんですよね。これは外せない1台なんです! 演奏の中では、ソロよりAメロとかで世界観を出したい時に、クリーンで使うことが多いと思います。ソロは直列でやらずに、エフェクトループに入れてセットアップを組んでいます。

DIGはソロでも使えそうだし、もっとパキっとしたデジタル感が欲しい時にも使えますね。イメージで使い分けたいですね。「クリーンでフレーズが見えてほしいアルペジオ、深く広がる世界観…」とか。El Capistanは『アナログライク』なので、クリアで深い世界観を出したい時に使うと、フレーズが溶け込むイメージになりますね。 DIGはDIGで世界観が確立していて、ディレイ音のローカットも設定できるし、そう意味ではこっちの方が『パキっ』と言うか、立体的な音像が広げられる…、どちらも捨て難いですね。

DIG どんな設定で使いそうですか?

TAKUMI : 説明書のプリセット『CAVE』はメチャクチャ好きな音、これはどこかで楽曲に入れたいなと思っています。これからインスピレーション受けることもあって、本当に気持ちいいですよ。Radioheadとかが大好きだろうなって想像できるサウンドです。

Gacktさんの楽曲もそうですけど、付点8分のフレーズは必ず入っているんです。ソロでも結構入れています。ソロの時はセンド/リターンに1台、直列の時は直列で一台置いて使い分けたいですね。直列ではMIX 50%とか55%くらいで、付点8分で使うんですけど、似たような設定でMIXを20%ぐらいで、ループしてソロで使うとか。ちょっとタイム長めの設定とかも考えています。ソロではピンポンで使いたいですね。

欲が出て来て、何台か欲しいなって思っています(笑)。2~3台置いておいて、直列は違うのが2台で…とかもいいですね(笑)。

流石だと思います、Strymonの質の高さ。