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strymon:Iridiumのキャビネットシミュレーションについて

strymon IRIDIUM

製品情報ページでも少し触れていますが、IridiumはIRデータ(インパルス応答)を畳み込む処理でキャビネットシミュレーションを行っています。IRローダーとかIRキャビシュミペダル、マルチに内蔵されているIRキャビなど様々なモデルが存在しますが、基本的には同じような方式でプロセッシングしています。ではIridiumは、他とどこが違うのか説明していきましょう。

Iridiumは、「24bit/96kHz」のデジタルプロセッサーです。デジタル機器ですから、以下の2点がサウンドやプロセッシング品位に影響を与えます。

標本化
1秒間に適当な個数だけデータを抽出して処理するのが標本化です。サンプリングとも言い、1秒間に取り込むデータの数をサンプリング周波数といいます。サンプリング周波数48kHzということは、1秒あたり48000個のデータを取り込むということです。多くのモデリング系やマルチは、この48kHzをサンプリング周波数として採用しています。Iridiumは96kHzです。

量子化
何bitと表示され、標本(信号)の近似値を求めるわけです。10個で量子化すれば0.1V刻みになり、0.11Vを0.1V、0.26Vを0.3Vにという具合に丸めます。量子化ビット数が16bitなら65536個、24bitなら1677万個に区切ります。この数値でわかるように振幅中の解像度が大きく異なります。

先にも紹介しましたが、アンプモデラーやIR Cabペダルのほとんどが48kHzのサンプリング周波数を採用しています。それに対して、Iridiumは96kHzのステレオサンプリングを採用しています。標本化で説明しましたように、1秒間に扱うデータが48,000 vs 96,000と大きく異なります。さらに、Iridiumは図のようにステレオです。

ここでは、使用IR CABデータを比較してみましょう。
Iridiumの説明には『96kHz 500msecのIRを使用して…』とあります。このように明確に使用IRスペックを公開しているモデルは少ないのです。500msecのIR Cabデータを使用する機器はIridiumが初であることは間違いないので、他社用は200msecとして、図では比較しています。

この図からは使用IR WAVデータ長の違いがわかりにくい為、これをサンプル数に換算すると違いが歴然になります。48kHzの200msecのサンプル数は9600です(48000 x 0.2=9600:48kHz 1秒間のサンプル数x時間sec)。Iridiumは96000 x 0.5=48000サンプルです。これで解像度の違いがはっきりします。Iridiumはステレオですから図のようになるわけです。

エディットモードでIRサンプルを1024又は2048の選択できる機種があります。2048サンプルの48kHzサンプリングでは、2048/48000=0.04(40msec)です。上の比較図よりもさらに短いIRデータをもとにエミュレーションしているわけです。
200msecのIRデータを購入しアップロードしても、ロードする際に短く切っているわけです。
(ノート:図の8000サンプルを使用している機器の明確な資料はありません。)
例:パッドなどでも使えるアンプ系を提供する某メーカーから入手したスペックは、以下の内容でした。

1. IR ローダー長
Software only:2048 samples
Hardware Firmware:480 samples

どうしてこんなにIridiumと違うのでしょうか?
これまでの機種は、IRサンプルをFIRフィルタ係数として畳み込む方式が使われていた為、精度を上げるとフィルタタップ回数が増えて膨大なリアルタイムでの演算になります。マルチエフェクターでは、エフェクターやアンプにも処理能力が必要な為、Iridiumのようにキャビシュミに演算を割けないわけです。IridiumはFFT方式を採用してこの問題点を解決しました。

ここではIridiumのIR CABにスポットを当ててみましたが、アンプサウンドの非常にリアルな再現には、新たなMatrix Modeling™やIRハイブリッドタイプの部屋鳴りを再現したROOMが大きく関わっています。それらの内容は次の機会に紹介いたします。

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