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HOTONE インタビュー(前編):Ampero Ⅱ Stomp 開発の裏側に迫る

  • 2022年2月11日
  • HOTONE
HOTONE インタビュー(前編):Ampero Ⅱ Stomp 開発の裏側に迫る

Hotoneから発売され、魅力的な価格と高い性能で好評を得ているAmperoシリーズに、サウンド、操作性、パフォーマンスのすべてがグレードアップしたAmpero Ⅱ Stompが登場して以来、すでに同モデルは多くのギタリストから高い評価を得ています。スマホのような操作性に加え、細かな作り込みができるこだわりの仕様、そして前モデルからさらに改良された良質なサウンドは、これまでにも様々なレビューで取り上げられています。そこで今回は、HotoneにAmpero Ⅱ Stompの開発ストーリーについて詳しく伺いました。

Q0. あなたのお名前と役職について教えてください。

私はアリ・ガルシアです。Hotone Audioのマーケティングディレクターで、ブランドのソーシャルメディア、アーティストリレーション、ファンコミュニティとの交流、コンテンツ制作などを担当しています。

Q1. 開発に至った経緯を教えてもらえますか?
また、前モデルからの主なアップグレード箇所についてもお聞かせください。

Ampero Ⅱ Stompの開発に至ったきっかけは、マルチエフェクターではなく、よりコンパクトなストンプスタイルに焦点を当てたかったためです。オールインワンのエフェクターを強く望まれるお客様が大勢いることは分かっていました。しかし、他のエフェクターとの自由な組み合わせを望むお客様に使って頂ける製品を開発したかったのです。そのため、入力を増やして他のステレオペダルからの入力も可能にしました。

みなさんがエフェクターボードをもっと自由に構築できるように、ステレオFXループも搭載しています。また、MIDI IN&OUT 5P DINポートとUSB MIDIを備え、Ampero Ⅱ Stompが他のMIDI対応デバイスと連携できるように、MIDIのフルコントロールも用意されています。プレイヤーの創造性に応えるためIRのデータ長も2倍にし、DSPコアを2倍に上げることによって十分な処理速度を実現しています。これらすべての要素が相まって、8IN/8OUTのUSBオーディオインターフェイスとしても使用できるようになりました。

Q2. Ampero Ⅱ Stompのサウンド面の飛躍的な向上に驚かされました。
これらのアップグレードはどのようなユーザーを狙ったものでしょうか。

長年のリサーチと開発による自然な流れです。私たちは常に特定のユーザー層を意識しているわけではなく、可能な限り最高のトーンを届けることを目指しています。私たちは、手頃な価格の製品だからトーンの音質を落としていいとはと考えていません。当社は日々テクノロジーの研究を続け、より良いサウンドをお届けできるように努めています。決して商売の戦略を優先することはありません。

Q3. より良いサウンドの決め手となるポイントを紹介して頂けますか?

企業秘密でもあるエフェクト処理のアルゴリズムですね。いくつかアルゴリズムは完全にコードを書き直し、新たな方法を試行錯誤しました。他のアルゴリズムは処理効率を向上しました。さらに重要なポイントは、クールでリクエストが多かった新しいアルゴリズを追加できたことだと思ってます。

Q4. Ampero Ⅱ Stompには新CODACが採用されているようですが、どこのメーカーのものでしょうか? どのような理由から採用に至ったのでしょうか? 特に音質について教えて下さい。

高価だからです。チープなものから高品質なものは作れませんよね?
答えは以上です。というのはちょっとした冗談ですが(笑)、Ampero Ⅱ Stompのエフェクト処理を解放できる唯一のパフォーマンスをもったコンバーターがESS Sabreだと判断して採用しました。超低ノイズのAD/DAコンバータだけでなく、アルゴリズムがもたらす非常に広いダイナミックレンジを備えた繊細なニュアンスまで、ユーザーがきちんと捉えられなければ意味がないですからね。

Q5. 独自のモデリング 「CDCM HD and F.I.R.E.」 とはどのようなものでしょうか?

実は、HOTONEコアテクノロジーのアップグレードバージョンの秘密が「and」の部分に隠されています。これは実際の回路の構造と特性から成り立っている、ホワイトボックスモデリングのメソッドを採用しています。一方、F.I.R.Eは、モデル化できるシステムのIRを使って複雑なブラックボックスモデリングを施され、コンボリューション演算によってその音を再現します。「CDCM HD and F.I.R.E.」とは、より説得力のあるリアルなサウンド出力するために、これらの2つの方法を掛け合わせた、いわばグレーボックスモデリングの産物だと言えるでしょう。

Q6. スマートフォンのように非常にスムーズな操作性ですね。 一方でエフェクターユーザー、特にギタープレーヤーは、昔ながらのノブ&スイッチを好む人も多くいますが、なぜ、このようなユーザーインターフェースを採用したのですか?

あらゆるデバイスは、今の時代に合ったUIへと刷新されています。最近の車などにはノブやスイッチはほとんど付いていないでしょう。ほとんどの車には巨大なHDタッチスクリーンが搭載されています。理由の一つはデバイスとユーザーの間で直感的なやり取りができることです。最近のプレイヤーはこうした直感的な操作性を求めていると思います。Ampero Ⅱ Stompを詳しく見ていくと、タッチパネルと同様に、ノブやボタンでもプログラミングの99%を行うことができることがお分かりいただけると思います。クイックアクセスノブはその好例です。タッチスクリーンを使用したくないユーザーは、無理に使用する必要はないんです。本機はスマートフォンではありませんからね。

もちろん 、「真空管」などを好む人々もやはり一定数いますから、そうした人のためにもトラディショナルな製品も提供していけたらと思っていますよ。

Q7. Ampero II Stompは、ステレオのルーディングが自由自在ですね。
特に、ステレオFXルーティングの設定方法も教えてもらえますか?

ステレオFXループを搭載した主な理由は、Ampero Ⅱ Stompがステレオ入力とステレオシグナルチェーンを持っているからです。 シグナルチェーン全体の整合性を保つ意味でも、ステレオFXループは、ステレオ回路を備えた他のエフェクターがシステムに自然に統合できるようにサポートする必要があります。

また、2つのモノラルFXループとして使用するという方法もあります。入力する楽器が1つで、シグナルチェーンもモノラルで動作しているとします。ただし、プリセットには2つのシグナルチェーンがありますので、一方のFX ループを右チャンネルに、他方の FX ループを左のチャンネルにそれぞれ設定するといったことも可能です。こうすれば、FXループチャンネルのそれぞれに、モノラルタイプのエフェクターを追加することができます。

Q8.  Celestion公認のCelestion IRについて:このアイデアはどこから生まれたのですか?
ロックファンなら誰しもがこれらのIRを気に入るであろうことは予想できます。このコラボについての戦略や目的を教えてください。

Hotoneは音楽産業のいくつかの有名企業と定期的に連絡を取り合っています。Celestion社とのコラボレーションはその好例とも言えるでしょう。市場にはサードパーティのIRが溢れていますし、以前使用した私たちのIRパッケージも好評でしたが、Celestion IRは別次元のレベルであることは間違いないでしょう。Celestion製スピーカートーンが、音楽ジャンルやプレーヤーの歴史を形作ってきたと言っても過言ではありませんから…。私たちはそのレガシーを最新の音楽デバイスAmpero Ⅱ Stompへ取り入れたわけです。唯一の戦略があるとすれば、すべては「お客様にできる限り最高のトーンをお届けするために。」ということです。


Ampero Ⅱ Stompの開発インタビューはいかがでしたか。少しでも本モデルの実力や使い方についてヒントになれば幸いです。製品が気になった方は是非製品ページをチェックしてみて下さい。

Ampero Ⅱ Stomp 製品情報
https://allaccess.co.jp/hotone/ampero2stomp/